昨年度受賞アイデア


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岡山キッズプロジェクト

-岡山市の学習塾未立地地域における小学生学力向上作戦-
岡山一宮高校 学習塾未立地地域における高校生学習支援グループ

1 アイデアの概要・コンセプト
岡山市の学習塾未立地地域の小学生を対象として、各地域の高校生による学習支援をするというプランである。その概要は、岡山市を対象とした学習塾の指導内容や指導形態を含めての立地分布地域を考察し、学習塾未立地地域を析出する。未立地地域のコミュニティーハウスを借りて小学生対象の寺子屋(学校の授業の予習・復習、英会話)を地域の高校生が行う。
岡山県で問題になっている学力向上に役に立ちたい。また、日本の小学校での英語学習の導入にも役立ちたい。さらに、地域の小学生と高校生による交流というコンセプトがある。

 

2 アイデアの着想点・提案理由・提案の背景
岡山一宮高校のスーパーサイエンスハイスクールの授業では、「岡山市内における学習塾立地と指導内容の特徴」というタイトルの課題研究を行った。岡山市内の学習塾立地の地図とポスターを作成し、2013年6月地域地理科学大会(岡山大学)でポスター発表をした。

その研究では、ArcGISという地理情報システムのソフトで岡山市内の学習塾の立地を調べた。その結果、多くの学習塾で個別指導が取り入れられていることがわかった。また、学習塾は岡山市の中心部とその周辺の住宅地区で多く分布して、郊外では学習塾の未立地地域になっていた。

未立地地域において、地域の高校生による寺子屋のような学習できる場を設ければ、小学生が学校で学習した内容を定着させたり、学習習慣を付けたりすることができ、その地域活性化になるだろうと思い提案した。

以下の写真や図が地域地理科学会でのポスター発表とその内容である。


写真1.地域地理科学会でのポスター発表


図1:岡山市における学習塾の分布と指導内容


図2:岡山市における学習塾の分布と指導内容

 

3 提案する具体的な事業内容
課題研究の結果、


岡山市北区:岡山市立蛍明小・足守小・馬屋上小・馬屋下小・庄内小
岡山市中区:岡山市立高島小・竜之口小・操南小
岡山市東区:岡山市立角山小・今城小・豊小・政田小
岡山市南区:岡山市立小串小・光南台小・第三藤田小・七区小 

    
これらの18校の小学校周辺地域には学習塾がないので、この18校周辺での高校生による寺子屋のような学習のできる場を設け、小学生の学習をサポートする。
どのような小学生へのサポートができるか、また、どのような効果があるかについての実践例が次のとおりである。


実施例
日時:平成25年10月27日(日) 15時~16時30分
場所:桃丘コミュニティーハウス
指導者:岡山一宮高校普通科2年生 6名
集まった小学生:岡山市立桃丘小学校 2年生1名・4年生2名・6年生5名
指導内容:英語のBINGOゲームと英単語パズル・算数(掛け算・割り算・割合・時事問題に関連した応用問題)・漢字の確かめテスト

(実施の様子)


参加してた小学生にアンケートを実施した内容は次のとおりである。


質問1:今日の感想
・算数の問題は難しかったが、教え方がうまかったのですごくわかりやすかった。
・普段使う言葉の英語でのBINGOゲームだったので勉強になり楽しかった。
・復習ができてよかった。

質問2:どの教科が一番苦手か。
・算数4人 ・国語1人 ・図工1人 ・なし2人

質問3:家の近くで今後このような勉強の場が設けられたら参加しようと思うか。
・はい 8人 ・いいえ 0人


その他意見
・一宮高校の人たちが明るくて、とても親しみやすかったので私も一宮高校に入りたいと思った。
・友達と一緒に考え、教えあうことができたのでよかった!

このように、地域の高校生と大人が小学生に勉強を教える寺子屋のような学習のできる場を週1回実施することで勉強に興味を持たせることや、今後グローバル社会の課題となっている英語学習の取り入れができ、今よりも学力向上に役立てることができる!
さらに、このことが話題になると各地域での実施が進み全体での持続的なまちの活性化につながる!

 

4 アイデアの実施・運営方法、地域との連携方法
ある程度の日時を運営者が設定し、コミニュティハウスや公民館に場所の提供を要請する。
場所が決まり次第、小学校に協力を依頼し、都合に合わせて日時を明確に決定する。
協力を依頼する際には、活動方針や活動の趣旨を詳しく伝える。
その後、小学校に学習内容や課題について聴取し、その学校に合わせた指導内容を考える。


また、高校生のボランティアを高校や学区の掲示板を通じて募集する。
岡山市を北区・中区・南区・東区の4つの学習塾未立地地域を中心に寺子屋を開く。
土日、祝日などを利用して週1回90分のペースで行い、指導者1人に対し生徒1~2人の割合で指導する。


また、生徒数が多い場合は時間を低学年と高学年で分けて指導する。
岡山県で課題となっている「学力向上」、日本で課題となっている「早い時期からの英語教育」を2本の柱として考え、それに貢献するための指導プログラムを作成した。


・ゲーム形式の英語指導 
・英語のBINGOやクロスワードを考え、楽しみながら英単語を指導。
・実生活で役立つ算数 
・低学年には、九九などの基礎力を身につけられる内容を指導。
・高学年には、チラシを使った日常で役立つ割合などの問題を指導。
・漢字抜き打ちテスト 
・学年に応じて、基礎的なものから発展したものを出題。
・実生活で役立つ算数
 低学年には、九九などの基礎力を身につけられる内容を指導。
 高学年には、チラシを使った日常で役立つ割合などの問題を指導。
・漢字抜き打ちテスト
 学年に応じて、基礎的なものから発展したものを出題。

 

5 期待される効果
地域の高校生が小学生に勉強を教える寺子屋を開くことで地域に貢献することができる。
このことが多様な年代の人々の交流する機会につながり、その地域の活性化になる!
またこのプロジェクトにより勉強時間が増え、今より勉強の楽しさを知り、学習意欲の向上が学力向上につながる。


そして岡山県全体としての学力向上に貢献し、公立小学校全国学力テストで成績が高い、秋田県・福井県・石川県・青森県・香川県・広島県・京都府・東京都・新潟県・富山県(公立小学校全国学力テスト2013より)のトップ10県に加わることができるという効果も期待できる!(岡山県はこの全国学力テストで37位である。)


さらに地元の高校生が教えるので地元の高校生に対する憧れが強まる。私たちも現に寺子屋を実施した際に、小学生から「一宮高校に入りたい!」と言われた。県全体でこの取り組みを実施するとなると、県北などの定員割れしている高校の生徒が、その地元の小学生に教えることが「あの高校に進学したい!」という憧れとなり定員割れを防げる効果も見られる。


6 このアイデアにかける思い
学習塾がない地域の子供たちは家庭で勉強するが、学習意欲がなければ自ら進んで勉強をしないケースが多いように感じられる。そこで、学習塾に相当するものを高校生がボランティアで実施することによって、学習時間が確実に確保でき、学力向上につながる。
現在全国での学力格差が広がっているなかで、このような活動を通じて学習塾未立地地域の学力を向上することにより、全体の学力が底上げされる。


また、高校生が多数で実施することによって、多様な地域に出向いて寺子屋のような学習をする場を設けることができる。学習形態としては、従来主とされてきた集団指導の体制はもちろん、最近増えつつある個別指導の体制にも対応することができる。


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