昨年度受賞アイデア


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回覧板でまちづくり

~コミュニケーション型の回覧板で、災害時にも助け合える環境づくりをしよう~
川崎医療福祉大学 長宗伶香

1 アイデアの概要・コンセプト
倉敷市真備町川辺は、高梁川と小田川に挟まれ、河川の決壊や内水による水害の恐れがある地域です。「災害時の防災」を考えたときに、個人の備えももちろんですが、隣近所に声をかけ合い、共に助け合える環境づくりをすることが一番の防災だということに行き着きました。コンセプトは「気持ちのバトン」。従来の回覧板を参加型にし、気持ちをのせて回し、コミュニティ形成のきっかけづくりをしていきます。

 

2 アイデアの着想点・提案理由・提案の背景
倉敷市真備町川辺は、倉敷市のベッドタウンであり、高度経済成長期に水島工業地帯の企業に就職した人が引っ越してくるようになりました。また、近年も20~30代の若い世代や定年退職後の第二の人生の住み家として選んで引っ越してくる人も増えています。現在世帯数は1,400件。そのうち6~7割が新しく引っ越してきた世帯であり、住宅やコーポで暮らしています。しかし、新しく引っ越してきた人々の中には、川辺地域にあまり関心がなく、地域の活動への参加も積極的でない人が多くいます。そのような、地域構成が複雑でコミュニティがしっかりと形成できているとは言えない川辺地区において、地域を回っている回覧板に着目し、近所の人とふれ合える機会をつくれないだろうかと考えました。

 

3 提案する具体的な事業内容
ただ情報を閲覧するだけではない、参加型の回覧板を提案します。
運営方法は、従来の回覧板と同じです。川辺地域の場合は、町づくり推進協議会から各地区に回していきます。新しい回覧板では、投稿型のコンテンツをつくりました。このコンテンツに、日常で感じた気持ちを投稿し、他の人は付箋でコメントをして、その気持ちを共有し合います。コンテンツは、漢字でカテゴリー分けをし、投稿しやすくしました。(祝う、暮らす、集う、守る、聞く にカテゴリー分けしています。)付箋にも感情のイラストをつけ、コメントしやすいよう工夫しました。この回覧板を従来と同じように回し、普段あまり顔を合わせない人同士が触れ合えるきっかけをつくっていきます。

また、川辺地域の回覧板を回す地区は、多い順に以下の地区で構成されています。

1.高度経済成長期に新しく引っ越してきた世帯の地区
2. 1.とその地区に昔から住んでいる人が混在している地区
3. 20~30代中心の若い世帯の地区
4. その地区に昔から住んでいる世帯の地区


回覧板を回す一地区は、少なくて10軒、多いところでは20~30軒です。このすべての地区のケースで運営しやすいものを目指します。

 

4 アイデアの実施・運営方法、地域との連携方法
回覧板の回し方は従来の方法と同じです。管理は町づくり推進協議会が行います。

 

5 期待される効果
普段から回覧板上でやり取りを行うことで、災害時にも声をかけ合い、助け合える環境が構築されます。また、地域とのつながりを普段から感じることができ、交流が増え、地域全体が活性化します。

 

6 このアイデアにかける思い
岡山県民は防災への意識が特に低いと言われています。災害は地震だけではありません。岡山で起こりうる災害も数多くあります。事前の心構えで災害時での対応が変わってくるはずです。そのきっかけづくりをしたいと考えています。

 

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